京都人

台湾にとどける京の真髄
京都の人々が本当に通う場所

京都人 > 京都人紹介 > 紫陽書院

京都人 Vol.001田中大久保町

2016年02月10日 UPDATE

店主 鎌倉麻里

女性店主が棚を守る、人文、漢籍、アートに強い古書店。

「この世に残すべき本を残す。 それが私たちの仕事です」。

紫陽書院 店主 鎌倉麻里

だって、猫、
かわいいじゃないですか。

 「この店は私の部屋であり、脳内です」。そう話すのが、前述のラ・パンセの斜向かいにある古書店・紫陽書院の店主、鎌倉麻里さんだ。
 
 店内に足を踏み入れると、天井までうずたかく積まれた本はイメージ通りだ。しばらくして、店内に古書店特有のほこりっぽい匂いがないことに気づく。どの本も清潔で手入れが行き届いている。
 

男性主流の古書業界で
おんなの感性を生かす。

 
 女性の古書店店主は珍しい。さらにいえば二代目や三代目が多いなか、自身が起業した点でも鎌倉さんは少数派だ。
「新刊書店や洋書屋ほか、いろんな店で働きました。20 年ぐらい前に『好きな本を仕事にしたい』と一念発起。あまり深く考えてませんでしたね」。
 
古書店を始めてわかったのは、古書は男社会という厳然たる事実だった。「ラーメン屋のスープと同様に、古書の仕入れは企業秘密」として、おんなゆえの創業の苦労を鎌倉さんは語りたがらない。
 
 古書店を初めて約20年。最初は店舗中心であったが、最近は古本まつりを中心とする即売会にも力を入れている。良書ばかりを置く紫陽書院が得意とするジャンルは人文、漢籍、歴史、考古学、美術、思想、写真集、絵本、そして猫ものだ。
 
「だって猫、かわいいじゃないですか」。
 
 鎌倉さんは女性らしい感性を存分に生かして古書を扱う。紫陽書院のどの本を手にしても気持ちがいい。本を磨く雑巾と消しゴム、値付けの鉛筆が仕事道具だ。
「本が好きなんです。だからほこりをかぶったままや、扱いが雑なのはイヤ。古書だからといって、汚い手で触らんといて欲しいワ(笑)」。
 

万感を棚と値札に込めて
濃密なコミュニケーション。

 
 古本屋は本の価値を決める仕事、と鎌倉さんは教えてくれた。
「市場の相場をにらみつつ、『自分はこの本がおもしろいと思うかどうか』で値を定める。その意味がわかる人だけが、その本を買っていくんです」。
 
鎌倉さんは、気になる客が来店するとその目の動きを追いかける。
 
 「棚の背表紙に走らせる目線で、どのレベルの古書を求める方はわかります」。
売り手の万感は棚揃えと値札の数字に込める。言葉を交わさなくても、本を介して、店主と客の濃密なコミュニケーションが成立するのが古書店なのだ。
 
本の棚差しの位置が変わればすぐにわかる。訪れた人から「こんな本あったんや」との声を聞くのがうれしい。
そんな鎌倉さんが守る紫陽書院に、ぜひ足を運んでほしい。並んだ本で彼女の脳内をたどれば、知的発見がきっとあるはずだ。
 
 日本で年間に発行される新刊は7万点以上。ほとんどが消えていくが、古書店は残すべき書籍をこの世に残し続ける。
「書物文化を受け継いでいる自負はあります。次に読む人に本をつなぐ、本の橋渡しをしているんだ、と」。

好きな本を尋ねると、鎌倉さんは言 葉を選んだ。「『個人的に』『商品として』『本 として』好き、の3種類あります」。写真 は個人的に好きな本。写真集に画集、レー スの本を挙げてくれた。

好きな本を尋ねると、鎌倉さんは言 葉を選んだ。「『個人的に』『商品として』『本 として』好き、の3種類あります」。写真 は個人的に好きな本。写真集に画集、レー スの本を挙げてくれた。

「店内のレ イアウトは考えつくしています」店主の 好みとチョイスでできている古書店は脳 内そのものだ。

「店内のレ イアウトは考えつくしています」店主の 好みとチョイスでできている古書店は脳 内そのものだ。

美麗な値札は蔵書票 としても人気。「楽しんで作っていたら、 50 種以上になってしまいました」。

美麗な値札は蔵書票 としても人気。「楽しんで作っていたら、 50 種以上になってしまいました」。

Shop Data
店舗名 紫陽書院
住所 京都市左京区一乗寺西水干町15 -2ファーストコーポ白川1F
電話番号 075-702-1052
営業時間 平日12:00 ~19:00ごろ
定休日 不定休
URL
LINEで送る
Pocket

Other Kyoto-jin

京都人・最新刊

Vol.004

下緑町

2016年6月発行

設置場所はこちら

京都人について

京都人004_Kyotojin004

Pick UP

Kyoto-jin News

LANGUAGE

日本語 繁体中文