京都人

台湾にとどける京の真髄
京都の人々が本当に通う場所

京都人 Vol.002泉涌寺道

2016年04月05日 UPDATE

オーナーシェフ 齋藤博人

ワインに合う、ヌーベルシノワ仕立ての四川料理。

「自分の仕事が正しいかどうかは、 お客さんがまた来てくれるかでわかる」。

齋華 オーナーシェフ 齋藤博人

人間とともに、
料理も大人になる

 真言宗の古刹・泉涌寺の裏手、静謐な林のなかにある一軒家が齋華、知られざる名店だ。いや、前身は祇園にあった婆娑羅といえば、ピンとくる人も多いだろうか。シェフの齋藤博人さんが2014年の秋に独立して、ヌーベルシノワの流れを汲む四川料理店を構えた。
 

東京での修行を経て
味に厳しい京都へ

 
「祇園で店をやっているとき『立地のおかげで人気なんじゃない?』と言われたことがありました。だったら、交通の便が悪かったら来てくれないのかと」。
 俗界から距離を置く泉涌寺の庭の景色に魅かれ、2階の高さまである一面の窓をしつらえた。最大10
人までのカウンターはどこに座っても特等席。晩秋には目に映るものすべてが紅葉で染まる。
「独り占めしたい、と思わせられるほどの美しい眺めです。それに、お寺の敷地に毎朝出勤して、身が引き締まる思いがする点も気に入りました」。
 僕は楽に流れがちだから厳しい環境に身を置くほうがいいんです、と話す齋藤さんは神奈川出身。四川料理をベースにした川崎の「好好」で4年間修行。西麻布のヌーベルシノワ「エピセ」で5年間研鑽を積み、系列店の店長に抜擢される。
「表参道のレストランウェディングの店でした。料理以外の仕事が増えて『自分しかできない仕事がしたい。自分の料理を追求したい』と強く思いました」。
味にうるさい京都を新天地に選んだ。
 

四川と京都の共通点。
生涯、味を追い求める

 
炒った花山椒の華やかな香りが漂う厨房。四川料理は奥深い。塩やオイスターソース、7種の味付けを、まだ完全には体得できていないと齋藤さんは話す。
「四川と京都はどちらも盆地で、唐辛子の産地で山椒遣いが上手な点が共通しています。寒暖差の激しさで、スパイスを身体が求めているんじゃないかなあ」。
 フレンチや西洋料理の要素を取り入れた中華料理、ヌーベルシノワ。齋藤さんの皿は美しく、強い主張があり、際立った味が印象的だ。
「『齋藤の味は濃いから、薄味好みの京都には合わないんじゃない?』と指摘されたこともあります。でも、僕がいいと思えない味で『おいしい』と言われても、うれしくない。僕自身が本気で作った皿でないと意味がないんです。だって、自分にしかできない仕事がしたくて料理人をしているんですから」。
 一生涯をかけて味を追求する覚悟は、すでに決まっている。「料理って作る人間が出ると思うんです。
人間が大人になると、料理も大人になる。僕は今40歳の味を作る。30のときとも、50、60歳とも違う。だから、僕は生涯現役。自分の仕事が正しいかどうかは、お客さんがまた来てくれるかでわかる」。
 屋号の齋華はすなわち、「齋藤博人の中華」。筋金の入った男を味わいたくて、泉涌寺の急坂を登る客は後を絶たない。

あわびの肝ソースで和えた麺に、あ わびを添える。「東京にいたときに試作を 重ねて、納得のいく麺ができ上がりまし た。同じ製麺所から送ってもらっていま す」。

あわびの肝ソースで和えた麺に、あ わびを添える。「東京にいたときに試作を 重ねて、納得のいく麺ができ上がりまし た。同じ製麺所から送ってもらっていま す」。

店内は全席カウンターのみ。ソ ムリエが皿に合うワインを薦めてくれる。

店内は全席カウンターのみ。ソ ムリエが皿に合うワインを薦めてくれる。

フカヒレスープを卵のフランに乗せ て。赤酢をかけ、全体を崩しながらいた だく。

フカヒレスープを卵のフランに乗せ て。赤酢をかけ、全体を崩しながらいた だく。

レストランと知らなければ、 通り過ぎてしまうほど静かなたたずまい。

レストランと知らなければ、 通り過ぎてしまうほど静かなたたずまい。

Shop Data
店舗名 齋華
住所 京都市東山区泉涌寺山内町35-3
電話番号 075-201-3239
営業時間 12時~14時、 18時~20時(入店)
定休日 不定休
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