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京都人 Vol.003新町御池

2016年06月17日 UPDATE

店主 甲和憙

“御用達”の町の菓子司が生んだ、愛しのきのこ。

「甘さが喉に残るから、 苦いお茶と合うんです」。

二條駿河屋 店主 甲和憙

持ち続ける、
徳川御出入りの誇り。

 呉服問屋が軒を連ねた御池通以南とは少し趣が異なり、御池通以北は二条城と御所に近く、かつて皇室や将軍家、諸大名などの御用を勤める多くの商いが、職住一致の居を構えた地域だ。江戸時代から続く和菓子の老舗も看板を掲げている。二条新町東入ルに、大きく二條駿河屋と書かれた屋号看板が、そんな歴史深い商いの街に溶け込んでいる。京都伏見を起源とし、秀吉、千利休の時代に天下にその名を轟かせたのが「駿河屋」の蒸し羊羹であった。創業時は「鶴屋」という屋号であったが、江戸時代に入り、伏見城で生まれた家康の十男、徳川頼宣に召し抱えられて、店が和歌山に移り、五代将軍徳川綱吉の息女「鶴姫」が紀州徳川家に輿入れの折、同名をはばかって駿河屋に改名したというエピソードが残っている。二條駿河屋は、その先斗町店からの暖簾分けだ。
 

手仕事でやり遂げられる
分量の、こだわり菓子。

 
 こじんまりした店の奥で、生菓子や干菓子を、丁寧な仕事ができる範囲を決して超えることのない分量だけを作る。創業から研鑽を重ね、店の規模や利益の追求より、手仕事の熟達を第一に重んじてきた。茶道家元の好み菓子になっていることも納得がいく。初代が店を構えて80年近く、現2代目の甲和憙さんご夫婦と、職人さんが作る通好みの和菓子は、今や知る人ぞ知る京土産、おもたせの逸品。独自に創作した銘菓「松露」は、全国のこだわり派甘党にまでその評判が広がっている。松露は元来、その希少価値の高さから日本のトリュフとも言われる小さな球状のきのこで、松露を模して仕立てたその菓子は、白い糖蜜をまといながらも、うっすらと中のあんが透けた小さな球が、艶々しく紙箱に敷き詰められた様は、愛おしさを感じずにはいられない。ご主人が立派な菓子箪笥から、それぞれの引き出しに入った干菓子を選びとって、松露の上に彩りを添えてくれる。どんな宝石箱にもひけをとらないほどに、うっとりと美しい。
 

丹波の香り漂う、
粒あんの口あたり。

 
 「うちの松露は粒あんで作っててね、小豆あんの良さをそのまま菓子に出して、喜んでもろてます。北海道に比べて温暖やからかな、丹波産の小豆は香りがよくて、皮が軟らかいからね。今の人は甘さ控えめが美味しいって言うけど、菓子はやっぱりお茶があっての菓子やさかいね、ある程度甘さが喉に残ってる方がええんです」。確かに、お抹茶といただく松露の美味しさは極上であり、その逆も然りだ。もうすぐ76歳になるという甲さん、最近になって屋上でお花作りを始めたのだとか。「和菓子は季節を大切にするでしょう。季節感もわかるし、花もどのように咲くか観察して菓子作りに役立つしね」。自らの仕事に確かな誇りを持って、進歩する努力をやめようとしない。取り繕うことなく、その必要もない。何百年と職人が腕を磨いてきた街の息吹が、そこにはある。

ショーケースの後ろにある菓子箪笥には色とりどりの干菓子が。思わず感嘆の声をあげたくなるほど美しい。

ショーケースの後ろにある菓子箪笥には色とりどりの干菓子が。思わず感嘆の声をあげたくなるほど美しい。

箱に詰められた進物用の松露。季節ごとに異なる綺麗な干菓子を添えて。

箱に詰められた進物用の松露。季節ごとに異なる綺麗な干菓子を添えて。

二条通に面した暖簾に歴史を感じる。甲さんは京都府現代の名工を昨年受賞した。

二条通に面した暖簾に歴史を感じる。甲さんは京都府現代の名工を昨年受賞した。

Shop Data
店舗名 二條駿河屋
住所 京都市中京区二条通新町東入ル大恩寺241-1
電話番号 075-231-4633
営業時間 9時~18時半
定休日 日曜・祝日
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