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京都人 Vol.003新町御池

2016年06月17日 UPDATE

代表 神田樹希

ずっと置いておきたい、重厚な手製ノート。

「父がノートに書いた殴り書きが、 今も支えです」。

lleno 室町店 代表 神田樹希

時を経て、思いを美しく残すために。

 室町蛸薬師南西角、かつては理髪店だったレンガ造りの古めかしい建物に、「オリジナル手製本 美しいノート」と書かれた垂れ幕が目を引く。「lleno 室町店」は、手製ノートとスケジュール帳の専門店で、レトロで色鮮やかなハードカバーが美しく並ぶ店内は、さながらアンティークギャラリーの様相。既製品のノートとの、質感や重厚さの違いに圧倒される。あまたある文具の中から、どうしてノートに特化しているのか?しかも手作りにこだわって。取材を終えた頃には、昨今流行の単なるおしゃれ文具の店ではないことがよくわかった。
 

父のノートの言葉が
自分のノート作りの原点。

 
 オリジナルデザインなだけでなく、表紙の材質や色、名入れのデザインなど、オーダーで自分だけの一冊を作ることができるのが、リエノの手製本の大きな特徴だ。27歳で印刷デザインの会社を始め、順調に仕事を続けていた代表の神田樹希氏を、一転して、後々まで大事にしてもらえる手製ノートの製作に向かわせたのは、奇しくも自身の病気がきっかけだった。32歳で悪性リンパ腫を患い、家族への告知のその場面にも、事情でずっと疎遠だった彼の父親は、ついに姿を見せなかった。なんとか持ち直し1年間の入院を経て復帰するが、そのさなか、父親が脳内出血で返らぬ人となってしまったのである。遺品の整理を手伝っていた時にふと見つけたのが、父親のノートだった。「そのノートに自分のことが記されていたんです。樹希入院とか、今日から点滴だとか、そっけない文言の落書きみたいなノートでしたが、ああ、自分も父から愛されてたんやなって」。神田さんにとって、その殴り書きのような文言が、ノートのおかげで残り、彼のその後の人生の大いなる支えとなった。
 

新作のノートの企画は
妻にもらった優しさから。

 
 繰り返し手で触り、手で書いた言葉を記すノートだからこそ、リエノのノートは手作業にこだわっている。時には数年後の自分を励まし、時には怒りや悲しみの感情をぶつけ、喜びを共にし、様々な思いを伝えるための心強いパートナーがノートである。数年前、神田氏が奥様からもらったクリスマスプレゼントは、1ページにひとつ、ありがとうのメッセージが書かれた1冊のノートだったという。面と向かって言えない感謝の気持ちを、家族に宛ててひとつずつ書き記し、ありがとうのノートを作る講座を開くきっかけとなったそうだ。
 もし子や孫が、亡くなったおじいちゃんの古い机の引き出しから、1冊の重厚なハードカバーの本を見つけて、ドキドキしながら開けたそのノートが、おばあちゃんからのありがとうのノートなら、それはどんな教科書よりかけがえのないものを教えてくれるに違いない。

古いヨーロッパの写真や生地をコラージュしたオリジナル。どこかレトロな雰囲気が神田さんのセンスと混ざり合う。

古いヨーロッパの写真や生地をコラージュしたオリジナル。どこかレトロな雰囲気が神田さんのセンスと混ざり合う。

スタッフで手作りした内装。ずらりと並ぶノートはどれもひとつずつ美しい。

スタッフで手作りした内装。ずらりと並ぶノートはどれもひとつずつ美しい。

古めかしいショップは、もと理髪店の建物。神田さんのノートのイメージにうまくマッチする。

古めかしいショップは、もと理髪店の建物。神田さんのノートのイメージにうまくマッチする。

Shop Data
店舗名 lleno 室町店
住所 京都市中京区山伏山町536
電話番号 075-221-4660
営業時間 12時~19時
定休日 水曜日
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