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京都人 Vol.001田中大久保町

2016年02月10日 UPDATE

シェフ 全美乃

日本一をねらう、細身のパティシエ。

「みんなで分け合うお菓子だから、ガレット・デ・ロワが好きです」

La Pensee シェフ 全美乃

おばあちゃんになっても
焼き続けたい。

 叡山電鉄茶山駅からほど近く、落ち着いた住宅街に、ひっそり佇む真っ赤な店舗。ピカピカに磨かれた金の取っ手のドアをゆっくり開くと、バターの香りとオーブンの熱気が店内に立ち込めている。
 
店頭販売は金・土だけ、隠れ家のようなパンとお菓子の専門店がラ・パンセ。
看板菓子はガレット・デ・ロワ。フランスで毎年1月6日の公現祭(キリストの出現を記念する日)に食べるパイだ。
 

単純なお菓子ですが
簡単ではありません。

 
 美しい紋様が刻まれたパイの下はアーモンドクリーム。食べておいしいのはもちろん、特筆すべきは中に1つだけ仕込まれたフェーブと呼ばれる陶製のミニチュアの置物だ。集まった仲間と切り分けて、フェーブが当たった人は王様となり、1年間幸せが続くと言われる。
 
 シェフの全美乃さんはそんなガレット・デ・ロワのありように魅せられた。
 
 「一人で食べるのではなく、みんなで分け合うお菓子っていいなあって」。材料はいたってシンプル。小麦粉とバター、アーモンドの粉と卵、砂糖、それだけだ。
 
 「単純なお菓子ですが、簡単ではありません。大事なのはまず美味しさ。そして見た目の美しさです。全体のバランス、焼き加減、クープの美しさ。
小麦粉とバターを合わせるのは手作業で、生地と対話しながら折り重ねる感覚は、子育てに似ているかもしれない。どちらも力づくで引っ張ってもうまくいかない。相手の声をよく聞いてあげないとね」。
 

「やっぱりプロはおいしい」
負けず嫌いで3軒の修行へ。

 
 愛知出身の全さんは、結婚して京都に住みはじめた。主婦業のかたわらパン教室に通っていたが、いちばん下の3人目の子どもが小学校に入る頃、友人に乞われてパン作りを教えるようになる。
「パンが好きでいろいろ食べ歩いていたんですが、『やっぱりプロの味はおいしい』と悔しくなって」。負けず嫌いを自認する全さんは、2度も渡仏し、またパン屋のグリーンゲイブルス・ドリーム、洋菓子のミシェルコンティ、オ・グルニエドールと、名店を修行で渡り歩く。
 
 「オ・グルニエドールの西原金蔵シェフは、アングレーズに、ゆっくりと火を入れて卵の旨味を最大に引き出す。そんな素材を大切にするところに衝撃を受けました」。シンプルな菓子ほど、手仕事がそのまま味になる。
全さんのガレット・デ・ロワを口にすると、その繊細さに驚く。パイ生地とアーモンドクリーム、原料は似ていても、味わいはまったく異なる。
 
 「ガレット・デ・ロワは、フランスの新年の風物詩。日本の正月のお雑煮のような、大事な存在です。腕を落とさないために、1年中生地を折り続けています」。
 
 「おばあちゃんになっても焼き続けたい」と話す全さんは、店頭販売がない日も午前1時に起きて厨房に立つ。糊のきいたエプロンをまとう細身の体には、アスリートのごとき向上心が燃えている。

外観

外観

店内には菓子とパンがぎっしり。「季節ものなので、ガレット・ デ・ロワは11 月から1月だけ。ほかの時期は旬の果物のガレット」。

店内には菓子とパンがぎっしり。「季節ものなので、ガレット・ デ・ロワは11 月から1月だけ。ほかの時期は旬の果物のガレット」。

全さんは国内のガレット・デ・ロワのコンテストのスー チアン部門で2度の優勝を経験。「いずれ全体部門で優勝 して、日本代表としてフランスに行きたいですね」。

全さんは国内のガレット・デ・ロワのコンテストのスー チアン部門で2度の優勝を経験。「いずれ全体部門で優勝 して、日本代表としてフランスに行きたいですね」。

親指大の愛くるしいフェーブはフランス製、毎年色と形が変わる。冬、カット 販売のガレット・デ・ロワにもフェーブを入れる。「カットのお客 さまにも、フェーブが当たる楽しみを体験していただきたくて」。

親指大の愛くるしいフェーブはフランス製、毎年色と形が変わる。冬、カット 販売のガレット・デ・ロワにもフェーブを入れる。「カットのお客 さまにも、フェーブが当たる楽しみを体験していただきたくて」。

Shop Data
店舗名 La Pensee
住所 京都市左京区田中西高原町19-2ウィング佐藤1F
電話番号 075-708-7206
営業時間 金土 8時~ 16時(以外は予約販売のみ)
定休日 不定休
URL http://lapensee.org/
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